Design History
2025.12.08

「紙」と「印刷」にこだわる必要性

建設業っぽくないデザイン。ただ、格好をつけたいだけなのか?

DX化が進む世の中に在って、この業界では『名刺』と『封筒』が重要な役割を果たす。

公共工事(道路や橋など設計や建設)を行う丸江建設さんは、主に行政から仕事の相談が発生します。

その際、必要となるのが市役所での挨拶周りと、窓口でいかに顔を覚えてもらうかということ。
日々多くの会社が出入りする役所の中で、担当者さんの手元に残る名刺は、『記憶に残す』という点で重要な役割をはたします。

もう一点は、協力会社同士で仕事の受発注を行う点。
まだまだ、紙の書類の引き渡しが多い業界で、封筒も必ず必要になるツールです。

どちらも、「丸江建設は何か違う」「良くも悪くもゼネコン会社ぽくない」という印象を与え、仕事の紹介を受ける機会を増やすために、重要な営業ツールになります。

「時流に沿う」ことだけが絶対では無い。

近年DX化が進み、封筒のデザインのご依頼はほぼ皆無となりました。

名刺も、コロナ禍以降は使用する頻度が少なくなるとともに、印刷サービスも安く一定のクオリティを再現できるようにもなったことで、印刷にコストをかける会社さんが少なくなりました。

こうした中で、まだまだ対面でのコミュニケーションが重要となる業界も存在しています。
プロジェクトの目的を整理し企画やデザインを考える中で、「時代の変化に合わせる」ことだけが必ずより良い提案になるとは限らないことを教えてくれる事例となりました。

丸江建設の強みをデザインで体現する。これも一種のブランディングデザイン。

公共工事では、なるべく『過不足なく』、『普通』であることが求められます。設計や工事を行う会社も、効率化や利益率を考え、新たしいことに挑戦することが少ないそうです。

その中にあって、丸江建設の強みは、『もっとこうしたら綺麗に仕上がるのに…』と気づいた点に対して、徹底的にこだわることとのこと。
請け負った現場の仕上がりを少しでも『より良いもの』にするために、多少非効率でも手間を惜しまず、発注内容や仕様書に無いことは、手間をかけて提案や説得を行うそうです。

例えば、道路の工事を行った場合、その道路は走りやすかったり景観が綺麗だったり。利用者は日常的に道路の良し悪しを気にしていないので気づかれることは無いような点ではあるけれど、間違いなく質の良い道路になっている。

こうした地道なこだわりの継続が評価されはじめ、若い会社でありながら着実に業績を伸ばし続けているそうです。

丸江建設が掲げる『CRAFT WITH PRIDE』という言葉には、これらのこだわりへの姿勢と想いが込められています。

そんな丸江建設の姿勢や強みをデザインで体現しました。

デザインの目的は、『何か新しいことをやってくれそう』という期待値を高めること。

今回制作した名刺と封筒のデザインは、ファッショナブルな印象を与えることを狙っています。

『綺麗な設計と工事をする』という姿勢の裏には、「既成概念に疑問を持つこと」と「見た目の綺麗さを気にする」という、日々の心がけがあるそうです。
また、名刺は日々身に付け持ち歩く道具の一つと言えます。

この、『「日々、身につけるモノ」であり「見た目の綺麗さにこだわり」を持ち、「既成概念にとらわれない」』と点から、『ファッションブランドのようなイメージ』という一つのデザインコンセプトが生まれました。

まとめ

一見、カッコイイやオシャレといった見た目の印象を評価されたり、気を衒ったと思われたりしそうな今回のデザインですが、その背景には明確な制作目的があり、機能的な意図を持ってデザインを展開してます。

今回、ロゴデザインは制作はせず名刺と封筒のみのグラフィックデザインのご依頼となりましたが、『会社の強みを体現』する点において、これも一種のブランディングデザインの事例と言えると考えております。

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